タタール人の砂漠

ブッツァーティ 著 脇 功 訳。

たぶん三度目の再読である。自分の人生を見つめなおしたい、もしかしたもっと良い人生があるかもしれない、と思うたびに読んでいる気がする。

書中で主人公のドローゴはあれほど嫌だった砦を出る機会があったにもかかわらず、結局はこのまま何かを成し遂げることができるかもしれないと思い、精神的慣性によって残ってしまった。その後、抜け出そうと思っても歯車が合わずかなわず、到底実現不能な夢を慰めにしながらずるずる40年も勤め上げてしまった。

このドローゴのような人は少なからずいるはずだ。特に公務員や大企業、専業主婦など慣性に縛られても問題ない状況ほど多いであろう。でも、それでいいのか、本当にそれでいいのかを考える必要があるだろう。

とまあ以前は思っていたが、今後自分の精神的エネルギーが無尽蔵であるとは限らないであるとも考えるようになってきた。そこで、すこしでもいい砦やることはやったナアと思うるような砦で衰退を迎えたいな。